イヤリングを片方落とした。カバンのやたら浅いポケットに入れていたせいだ。
幸い、直前まで一緒にいた後輩が見つけてくれて今はサークル共用のロッカーにある。誰も勝手に持ち帰らないでほしい。友達手作りのものなので…
これに限らず、私のイヤリングはほとんどが貰い物だ。お供を選ぼうとアクセサリーケースを開けると、それらをくれた大事な友達からの愛と、失くしてしまうかもしれない恐怖が、いつもちょっとだけ戦う。
何かやるべきことがある時にはアクセサリーをつけない、というジンクスのせいで私のアクセサリーケースの住人はあまり日の目を見ない。
サークルにめずらしくネックレスをつけて行ったら練習場所が取れていなかった、イヤリングをぶら下げたら謎のトラブルにより走り回った、なんて経験が二三度あったからだ。
こういう因果関係をガン無視した小さなジンクスやこだわりが私には本当に多い。捨てたら生きやすくなるのも知ってるけど、まだこだわれるうちはこだわっていたい。何かに縋ることで救われる心もあるのだ。
つける回数が少ないせいでやたら物持ちのいい私のアクセサリーは、人からの贈り物以外に増える気配はない。
昔はクレアーズやスリコであんなに目を輝かせてたのに、それよりも大事なものがあるとお金を出すのを渋り始めたのはいつからだろう。
ちょっと寂しいけど、大事なものが増えるのは悪いことじゃないだろう、きっと。失うことさえ怖くなければ。